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高裁宛要請、の巻 [日録]

今日は、年金訴訟の原告の皆さんを中心に、広島高等裁判所岡山支部に対して,要請行動が行われました。参加者は,各人、裁判長宛に要請書を作り、これを読み上げて、係の職員に手渡すという計画です。私の属する支部からはあいにく希望者がなく、僭越ながら私が「枯れ木も山の賑わい」の役割を勤めさせていただきました。十数人の先輩方に混じって,私が読み上げたのは,こんな文章でした。


要請書

広島高等裁判所岡山支部第2部(民事)裁判長 河田 泰常殿

岡山市○○区○○ Kazg

貴裁判所におかれては,係争中の年金訴訟において,高齢者の命綱と言える年金の制度が,子々孫々に至るまで安心の制度として機能できるよう,十分かつ公平な審理を尽くされ,後世に範となる公正判決を勇気を持ってお示し下さるよう強く要請いたします。

要請趣旨

私は,1952生まれの70歳で,2015年及び2016年の提訴の時点では,年金未受給者であったため,原告には加わっていませんが,自身の死活に関わる問題であることから訴訟のなりゆきに注目し,ほぼ毎回の公判を傍聴してまいりました。

原告の訴えは,それぞれ,年金生活者自身の血の叫びであるとともに,将来の年金生活者(すなわち現在の現役世代)のいのちと人権を護るための,「孫子のための,ジジババの」伝言にほかならず,裁判傍聴者はもとより,裁判官,さらには国側代理人の胸をも深く動かしたものと確信しています。ところが,一審判決は,原告側の訴えた,女性の低年金の実情,ILO102号条約の提示する国際水準に乖離,年金削減の地域経済に及ぼす悪影響,などの指摘にまともな顧慮を払うことなく,国の主張をオウム返しするのみで,司法としての判断を回避した不誠実なもので,落胆を禁じることができませんでした。

私ごとになりますが,過日,郷里の父が94歳で逝去し,残された母への遺族年金の手続きのために,管轄の年金事務所を訪ねた時のこと,対応して下さった職員の方が,「さすがに昭和の厚生年金ですね。これだけの金額を目にすることは滅多にありません」と,率直な感想を漏らされました。

寒村の貧困家庭で育った父は,高等小学校を卒業してすぐに,つてを頼って東京の軍需工場に就職しましたが,東京大空襲で焼かれて故郷に帰り,地元企業に勤めました。その後,人減らし合理化の波を受けて,県外の企業で働いて定年を迎えました。社会の下積みとも言える境遇で,爪に灯を点すような生涯を送った父でしたが,この年金のおかげで老後の生活が支えられたのだということを改めて実感しました。

その父が骨身を削って学費を捻出してくれたおかげで,私は大学へ行くことができ,高校教員として定年まで働きました。ところが,現在私の受給している年金額は,なぜか,父にまったく及びません。空前の物価上昇が続くなかでも,物価スライドは適用されず,その上マクロスライドというマジックによって,今後益々削られていく状況のもとで,将来への不安は切実です。ましてや,より低年金の方々の不安は,察して余りがあります。

さらに深刻なのは,若者世代です。私の死後,私の子や孫が,年金事務所の職員から,「この時代の人は,まだマシでしたね。今では年金で暮らしていける人なんかほとんどいませんから」と言われるような残酷な未来を,決して彼らに残したくないと,強く思うところです。「将来の現役世代の負担を軽減」と謳うマクロ経済スライドは,現在の高齢者ばかりでなく,将来の高齢者(現在の現役世代)に一層過重な負担を強いる致命的なシステムバグといわなければなりません。現役世代に,慢性的な将来不安をおしつけ続ける社会システムは,結婚しない若者たち,出産・子育てを忌避する若者たちを量産し続け,少子高齢化を加速させ,高齢世代を支えるべき若者世代が減り続けることは自明であり,この悪循環を転換することこそ,焦眉の課題というべきでしょう。

どうか,原告はじめ,若者世代を含む国民の声に真摯に耳を傾けて戴き,高齢者・若者ともに安心して老後を迎えることができる温かい社会に向けて,日本国憲法の理念にしっかり立脚した判決をお願いするものです。


よしんば、自己満足・独りよがりと見られようが、やむにやまれぬ思いを、裁判官に伝える数少ない機会には違いないので、それなりに気合いを入れて参加してきましたよ。

そういうわけで、あれやこれやでここ2~3日、カメラ散歩はできてません。日曜日の散歩で見かけたのは,この鳥でした。

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サメビタキでしょうか?

今日はこれにて。


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コメント 2

gonntan

年金問題、アベ元首相のやり残したというか分かっててやっちまった棄民政治の一つですね。
by gonntan (2022-10-09 22:03) 

kazg

>分かっててやっちまった棄民政治の一つ
まったくです。まがりなりにも築き上げてきた戦後の民主主義的蓄積を、「新自由主義」の荒波の中へ真っ逆さまに投げ捨ててしまったのは、その行き着く先の地獄を知ってのことか,疑問ではありますが・・・

by kazg (2022-10-10 19:00) 

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