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寅年のトラツグミ、の巻 [鳥三昧]

釣りの世界の言葉で. 本命 ではない 獲物 が釣れた場合 のことを何と言いましたっけ? がっかり感を伴って「 外道」という言い方を 聞くことはよくありますね。調べてみて、「外道」が、もともと仏教用語であったことを知りました。


 
げ‐どう〔‐ダウ〕【外道】 の解説
1 仏語。仏教の信者からみて、仏教以外の教え。また、それを信じる者。⇔内道。

2 道理に背く考え。また、その考えをもつ者。邪道。

3 災いをなすもの。悪魔。また、邪悪な相をした仮面。「―の面」

4 心のひねくれた人、邪悪な人をののしっていう語。

「もっともっと恥かしい、堕落した、―のやり口よ」〈葉山・海に生くる人々〉

5 釣りで、目的と違った魚が釣れたとき、その魚のこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)


ところで、求めていた本命とは違って、 思いがけない高級な 獲物をゲットした時には 何というのですでしたかね ?時に「 嬉しい 外道」 なんて言い方も聞きますが しっくりきません。「 嬉しいゲスト」 などの 言い方もある そうですが、もっと高級感・大物感・意外感が籠められた言い方は ありませんかね。
昨日の 鳥撮り散歩で 出会った 「ゲスト」は この方。


確かに以前ここでお目にかかった経験はありましたが、昨日は 全く 念頭にありませんでした。 薄暗い 林の茂みの下を 忙しくくちばしで 地面を つ つ 足で掻き分けながら 何やら催事に余念のない 地味な感じの 鳥が動いていました。重なる 落ち葉の色にまぎれて、 見失うことしばしばです。極上の 保護色です。


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これはさては…と観察 してみますとやはり トラツグミに間違いなさそうです。


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以下トリミング画像を載せます。


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初対面の とき の 記事はここに書きました。


われもまた たずねあてたり とらつぐみ(2014-01-16)


トラツグミというと、古来「ぬえ鳥」とも呼ばれ、平家物語にも、源頼政のヌエ退治の話が出てきます。

「デジタル大辞泉」では次のように説明されています。
ぬえ【×鵼/×鵺】
    1 トラツグミの別名。
    2 源頼政が退治したという、伝説上の妖力をもった怪獣。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、声はトラツグミに似るという。
    3 つかみどころがなくて、正体のはっきりしない人物・物事。「政界の―」
トラツグミは、夜中に、口笛のような「ヒョー、ヒョー」という声で鳴くそうです。
「鵺の鳴く夜は恐ろしい」というのは、横溝正史原作の映画「悪霊島」のキャッチ・フレーズでした。

 山上憶良の『貧窮問答歌』(万葉集)では、その、か細い鳴き声を「ぬえ鳥の のどよひ居るに」と表現しています。
『貧窮問答歌』は、作者=山上憶良自身を投影した一人の貧者が、よりウルトラ・スーパー・ハード・スペシャルな極貧者に問いかけ、極貧者がそれに答えるという設定の長歌と、付属の短歌からなります。
『貧窮問答歌』 山上憶良
(中略)


例のごとく、地方言葉に訳してみます。

【地方語訳】
《貧者の問い》
風 交じりの雨が降る夜で、雨交じりの雪が降る夜はどねーにもしようがのぅ寒いけぇ、固ぇ塩をなめちゃあ糟湯酒(かすゆざけ)をすすりすすりして、咳ぅしちゃ あ鼻水ぅ垂らぇて、はっきりありもせん髭をなでて、「ワイをおいてマシな人間はおるまぁ。と自慢はしてみるんじゃが、寒うてしょうがねぇけぇ,麻のふとん をひっかぶり、ぼろ着をあるだけ重ね着しても、寒い夜じゃのに、ワイよりも貧しい人の 父母は飢え凍えよぅるじゃろう。妻や子どもらぁは 力無ぅ泣きよぉ るだろうに。この時ぁ、あんたらぁどねぇして暮らすんかのぉ。
《極貧者の答え》
天地は広いゆうけど、わしにゃぁ狭うなってしも うた。お日さんやお月さんは明けぇというけど、わしのためには照らしちゃあつかぁさらんのかのお。ほかの人もみなそうなんじゃろうか。わしだけなんじゃろ うか。人として生まれ、人並みに働きょうるのに、綿も入っとらん海松(ぬるぬるの海藻)みてぇにぼろぼろになって垂れ下がった衣ばぁ肩にかけて、つぶれか けた、曲がった家の中には、地べたにわらをばらかして敷いて、父母は枕の方に、妻子は足の方に、ワシを中に囲んで座って嘆き悲しみよんじゃ。かまどには煙 も立たず、炊飯器にゃあにクモの巣がかかって、飯を炊くことも忘れて、ぬえ鳥のようにかぼそい声を出してうめきょうるとこへ、「短い物の端ぅ切る」ゆうよ うに、鞭を持った里長の声が、寝床にまで大声を出ぇて何回も呼びかけてくるんじゃ。
こねぇにもどねぇしようようも無ぇもんじゃろうかのぉ、世の中いうもんは。
短歌
この世の中を「つらいのぉ」、「身もやせるようで生きるのも恥ずかしいのぉ、嫌じゃのぉ」と思うけど、飛んで往んでしまうわけにもいかんのんじゃ、わしぁ鳥じゃぁねえけぇ。

「生活派歌人」、「社会派歌人」、「人道派歌人」としての山上憶良の面目躍如たる代表作で、心に残る名作といえるでしょう。



この記事以来の出会いでしょうか(見かけた者の撮り損ねたことは、最近もありましたが)


うそ~!ホント?の巻


旧暦では、今が正月。そう言えば今年の干支は寅。寅年のトラツグミに遭えるとは、縁起がよろしい。


今日はこれにて。


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momotaro

トラツグミのこと、な〜んにも知りませんでした。ぼぉ〜と生きてました!
by momotaro (2022-03-04 04:28) 

kazg

チコちゃんに叱られて下さい(笑)
by kazg (2022-03-04 19:02) 

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