憲法考補遺、の巻 [時事]
今日は立夏。朝夕は肌寒いほどですが、さすがに日中は初夏の陽射しです。
路傍の畑に、ヤグルマギクやポピーが花盛りです。
ナガミヒナゲシ。
オオキンケイギクの群生。
散歩道のムクドリ
麦畑にスズメが遊んでいます。
麦畑の上を飛翔するダイサギ。
ツバメも飛び交いますが、素早くてカメラに収まりません。
電線に止まれば写せますが・・・
カワラヒワ。
さて憲法記念日にちなんで、前回記事を書いた後も心残りだった点について、いくつか付け加えさせていただきます。
【その1】ウクライナ侵攻を改憲の口実にする姑息
前回、どうにもまとまりきらなかった考えが、これを読んですっきりしました。5月3日、東京有明防災公園で開かれた「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022 憲法大集会」で採択された特別決議です。その一部を引用させていただきます。
この度のロシアのウクライナ侵攻は二度にわたる世界大戦を経て人類が獲得した国連憲章の「国際紛争を平和的に解決する原則」に反し、「武力による威嚇または武力の行使を禁止する国連憲章第1章2条4項に明白に反するものだ。いかなる理由があれ、ロシアの今回の蛮行は許されない。ロシアはただちに軍事行動を停止し、撤退しなければならない。
しかし、わたしたちはこの侵略戦争のさなかに、日本で惨事に便乗するがごとく、まことしやかに語られている暴論の数々を見逃すことはできない。「憲法9条は役に立たない」「日本も非核三原則を放棄して米国と核兵器を共有すべきだ」「軍事費を倍加しよう」「台湾有事に備えよう」「敵基地攻撃能力をもとう」「基地だけではなく敵の中枢も攻撃しよう」などなどの言説だ。
憲法9条にもとづいた外交努力で近隣諸国との友好共存関係の積み上げを怠り、列強との軍事同盟や軍事協力を強化し、軍事力を強化して緊張を煽り立て、いたずらに他国を誹謗し、戦争の危機をあおり立てるこの道は、日本を際限のない軍拡競争にひきづりこみ、やがて壊滅的な戦争の勃発を招きかねないものだ。この道は日本がかつて歩んだ道だ。これこそがいまウクライナで起きている事態の教訓ではないか。
本日、日本国憲法施行75周年にあたる5月3日、東京・有明防災公園に集まった私たち市民は、集会の総意において、平和を希求する全世界の民衆に連帯し、なかんずくウクライナとロシアの民衆に連帯して、ロシアの侵略戦争を直ちにやめよ、人を殺すな・即時停戦実現の声をあげる。そしてこれに便乗した日本政府の一切の軍拡策動に反対し、憲法9条を掲げ世界の市民とともに平和をつくり出す闘いに全力を挙げてとりくむことを、宣言する。
2022年5月3日
改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022 憲法大集会
集会でのスピーチにも、それぞれ目を洗われる思いでした。「朝日新聞デジタル」の記事を引用します。
登壇した上智大の中野晃一教授は「(戦争防止のために双方の国が)抑止一辺倒だと、互いに抑止と言いながら軍拡競争になる」と指摘。「9条を守り、先に攻めるつもりはないという『安心供与』をして初めて安全保障政策として成立する」と語り、憲法9条の堅持を訴えた。
【その2】「押しつけ憲法」論を考える
改憲を呼号する右派勢力が好んで用いてきた主張のひとつに、現行憲法はアメリカ占領下でマッカーサーによっておしつけられたものだとするいわゆる「押しつけ憲法」論があります。
端的なのは、中曽根康弘元総理が「憲法改正の歌」。いつかの記事で話題にしたように思いましたが、検索しても見つかりませんので、ウィキペディアの解説をもとにメモだけ残して起きます。
発表当時、衆議院議員在職5期目で「押し付け憲法論」の最右派として“青年将校”の異名を取っていた中曽根が「自主憲法制定」への思いを全5番の歌詞に込めたものである[2]。1953年(昭和28年)にサンフランシスコ講和条約が発効し、進駐軍が撤退した後も日本国憲法は「マッカーサーによる押し付け憲法」として国民に無条件降伏の屈辱を強いているという否定的評価より“マック憲法”と呼び、4番では原子力開発の必要性を説いている。
こんな歌詞です。
憲法改正の歌
作詞:中曽根康弘 作曲:明本京静
1 嗚呼戦に打ち破れ
敵の軍隊進駐す
平和民主の名の下に
占領憲法強制し
祖国の解体を計りたり
時は終戦六ヶ月2 占領軍は命令す
もしこの憲法用いずば
天皇の地位うけあはず
涙を呑んで国民は
国の前途を憂ひつつ
マック憲法迎えたり3 十年の時は永くして
自由は今や還りたり
我が憲法を打ち立てて
国の礎築くべき
歴史の責を果さんと
決意は胸に満ち満てり4 国を愛する真心と
自ら立てて守るべき
自由と民主平和をば
我が憲法に刻むべし
原子時代におくれざる
国の理想を刻まばや5 この憲法のある限り
無条件権降伏続くなり
マック憲法守れとは
マ元帥の下僕なり
祖国の運命拓く者
興国の意気に挙らばや
首相時代、「ロン・ヤス」とファーストネームで呼び合って抱擁し、アメリカ追随の「不沈空母」づくりに励んだナカソネ氏の「自主憲法」が所詮、対米従属路線の隠れ蓑に過ぎないことはおのずととあきらかですが・・・。ちなみに中曽根氏逝去の際に書いたのは、こんな記事でした。
冬晴れの自然環境体験公園、の巻(2019-11-29)
中曽根康弘氏(101歳)逝去のニュースが流れています。人の死は厳粛なものですから、改めて生前の業績を偲ぶ、というのは自然のこと、、、しかしメディアの扱いは、ちょっと行きすぎじゃありません?良好な日米関係の基礎を築き、日本の繁栄に寄与した英雄、国民にとっての恩人、、みたいなヨイショぶり。下手すると、信じこまされそう、、ですね。
中曽根臨調(臨時行政審査会)こそ、「行政改革」の美名を弄して、国民へのサービスをとことん削り、その上にアメリカの要請に添った軍備拡大と、大企業優遇の徹底という、今日の日本の歪みの基礎を作った元凶ではなかったでしょうか?「ロン、ヤス」とファーストネームで呼び合う日米蜜月関係は、アメリカ絶対の「運命共同体」に日本国民を引きずり込むものでしたし、アメリカのための「不沈空母」とはあけすけな狙いの吐露でした。そして、今日、アベ内閣の元で、これらの路線はいっそうあらわに進行しているわけで、いまある国民の苦難の大本を免罪するわけにはいかないのでは?と思います。
「内閣と自民党による故中曽根康弘元首相の合同葬の経費として約9600万円を計上という報道にちなんだ記事はこちら。
こいつは春から、の巻(2021-01-01)
「親玉の葬式ぐらい自助でやれ」。 全日本年金者組合の「むしろ旗川柳」で優秀賞に選ばれました(エヘ)。
ところで、「押しつけ憲法論」について、「朝日新聞デジタル」(2018年2026日付記事)「(教えて 憲法)GHQに押しつけられたの?」はこう解説しています。
日本国憲法は敗戦後の1946年11月、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で公布された。
自民党はその「生まれ」を問題視し、GHQに「押しつけられた」と訴えてきた。「押しつけ憲法」論だ。2012年にまとめた党改憲草案を対外向けに紹介する冊子でも、「主権が制限された中で制定され、国民の自由な意思が反映されていない」と批判した。
(中略)押しつけ憲法かどうかについては、衆院憲法調査会(現・憲法審査会)でも議論され、05年の報告書にもりこまれた。「国民の圧倒的支持を日本国憲法が受けてきたことは明確」との見方が数で上回り、一定の決着をみた。
自民党も16年の衆院憲法審査会で、「GHQの関与ばかりを強調すべきではないとの意見を考慮に入れることも重要だ」(中谷元氏)として、押しつけ憲法論を表向き封印した。だが、党内には押しつけ論にこだわる議員が少なくない。(藤原慎一)
もう少し続きますが、長くなりすぎましたので、今日はここで一旦中断。残りは次回と致します。
こんな素晴らしい記事にコメントしてなかったんですねぇ
「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022 憲法大集会」で採択された特別決議は素晴らしいですね。見事に言い得ています。
それから双方が抑止抑止と言いながら軍拡競争になるのも自明の理で愚の骨頂です。
中曽根さんのズレまくりは相当でしたね。
総理になってやったことは「アメリカの不沈空母」発言、ゴマスリのみでした!
by momotaro (2022-05-08 05:39)
momotaro様
おっしゃるとおり、特別決議、読んでみてすっかり納得させられました。
中曽根さん、現役時代もそうでしたが、晩年・逝去後にも、相も変わらずヨイショする動きが跡を絶ちませんね。聞けばフィリピンでもあのマルコス独裁時代を「良き時代」と思わせる宣伝の効果で、特に若者世代にマルコスジュニアへの期待が広がっているそうですね。簡単に忘れてはいけない歴史の真実というものに誠実に向き合いたいと改めて思います。
by kazg (2022-05-08 07:50)
中曽根、こんな歌を作っていたのですか
まあ、あの人物像からは不思議ではないですが。
by 八犬伝 (2022-05-10 20:07)
八犬伝様
威勢の良い国粋的強がりの裏で、「ロン・ヤス」とおべっかを使い、アメリカ追随、国益犠牲の外交(特に軍事)に腐心した「業績」は、あんまり誇れるものではないでしょうね・・・
by kazg (2022-05-12 21:49)